自給率ねえ。

 口蹄疫スレ眺めてたら自給率の話が出てた。…市場原理に則ってる限り自給率は上がらないし、それで問題ないんだが。
 とりあえずカロリーベース自給率は廃棄される部分も見込まれているので、仮に100%になると国産農畜産物がもの凄い量で廃棄されることを念頭に置いて考えることが大前提になる。輸出したら良いじゃんという話でもあるが。
 食料自給率に使われている数字はおおざっぱにいえば「どれだけ食料が供給されたか」と「どれだけ国産食料を消費したか」の2つから成り立つ数字なので、自給率を改善する方法は「国産供給量の増加」と「全体での流通量の縮小」の2つになる。国が推進しているのは前者だが、経済規模縮小に繋がる後者は触れる筈が無いよね。結果として「国産品が国内市場を制圧する」という半世紀以上前のスローガンみたいな無謀を求められているのが現在の食料自給率問題の実態という訳。現場に近い人間からいわせてもらえば、壮大な茶番劇。利用させて貰ってはいるけれど、所詮理想論だよなあ。
 要するに「安い輸入食料品、加工原料と競争して勝てる国産品を作る」ことが求められていて、現在は単価を下げたり減農薬などの付加価値商法で対応している。ジリ貧だけどね。1次2次産業で途上国の価格競争力とマジでやり合うなんて狂気の沙汰だ。バイヤーが求めてくる単価は消費者の感覚に基づいてるんだろうけれど、消費者が生産現場を知らない時代に「消費者が妥当と感じる単価」が果たして「生産地で妥当と折り合う単価」なのか。実際は小売りでのロスを織り込んだ末端価格形成なので、消費の仕方を見直すべきレベルまで来たと俺は思ってる。そもそも産地同士が出荷時期ぶつかって値崩れする状況で意地の張り合いを続けて死にかけるとか頭付いてんですか?キャベツとか大根とか白菜とか。全部ブラシカじゃねーか。大量生産大量消費の時代から脱却出来てないのはどこもそうかも知れないけれど、そろそろ意地張ったら死ぬから考え方変えた方が良いんじゃないだろうか。…小売りもだよ。


 ま、それでも価格は水物って世の中もどうかと思うし、コスト面での対応もやむなしなんだろうけれど。結果的に大規模化を行なって、機械投資や人件費の費用対効果を高めたり、肥料の取引量を増やして業者と価格交渉を行なうとか農薬などの適期防除や予防的な使用によって使用量を減らしてコストを下げるとか、出荷の際もロットをでかくして箱代や流通経費を下げたり、選別も機械化によってコストを下げたりとか対応している訳だが。
 個人的には大規模化はあと20年以内に一定の形を為すと思う。根拠は担い手の高齢化。離農による農地の団地推進がある程度進むと思われるけれど、数百万から数千万単位の農地を受け入れる担い手がどれだけ残るのかは疑問。そしてそれに対応出来る作付け管理体制を確立出来るのかどうかという問題も、未だに答えが見えてこない。でもやってくれると思うよ、つーかそうしないと地域が滅亡するだけだから。
 原料価格に付いては難しいかなあ。相変わらず石油に引きずられてるし。肥料は業者の怠慢、というか大手なのにあのザマなのか、大手だからあの程度のザマで収まるのかわからんけどもっと頑張れよ。毎年「今年はこの値段になるよ!エヘッ☆」ってさぁ、現地でどんな交渉したかレポート出せ。機械はほぼ軽油とガソリン無いとお話しにならないし、大規模化によって石油依存が激しくなってる側面もある。免軽はあるけど。その機械だってこれから農家戸数が減ったら売り上げ下がるからなぁ。そうなったら毎年のようにガラパゴスみたいな進化する農機具の開発費とか全部単価に乗せんの?どーすんのよ。つかオージーみたいに最小限の機能で頑丈で長持ちする機械にして欲しい。それじゃ会社が持たないのは知ってるから難しい所ではあるけれど。キャビンと冷暖房は要るよ、要るけど…


 そう言えばつい先日に資料に触れる機会があったんだけど、中畑1,000㎡で10万切ってる所あるんだね、坪330円くらい?どうやって資金繰するんだろう、保全の審査通るの?深い所まで読み込んだら結構近所にそういう畑があって吹いた。ちなみに内地とは下手すると10倍以上の価格差があったりするから侮れない。まだまだ北海道はフロンティアなのか?
 老後にそういう土地で隠居するのも悪くないかなあ…老後っていうステージがあるのかは知らんけど。