向上心のあるバカ

 結論から言えば先生は向上心故に死んだのだ。
 定職にも就かず親の遺産でのほほんと暮らすクズニートが他人を見下していたら上に登れなくなるのは当たり前の話で、そこから上に登る努力もせずに更に上に行きたいと思っていた先生からすれば、乃木大将の殉死は喝采したくなっても仕方ないと思う。ただ死ぬだけで、乃木大将、あるいは明治の象徴と同格になれる。彼にとっては向上出来る限界値に近かったのではないだろうか。
 まあ端から見たらただの自殺者なんだけどね。でも彼の中でそうなら、それで良い話で、だから先生はそうしたんだろう。個人的には納得がいった。
 ただ、それが向上心なのか、例え向上心だったとしてもそれがあればバカじゃないのかどうかと言われると疑問が残る訳だが。