確かに。

 市況1で「日本人はこの環境に順応するよね」と言われてちょっとゾッとした。

 朝起きて、テレビをつけ、放射線量予報を聞きながら出勤の支度をする。
 「本日の風向きは北西,放射線量は400μSV/hでしょう」
 アナウンサーも最近は淡々と予報を読み上げている。日本人は忘れやすいと言うけれど、あの事件も
こうして風化していくんだろうか。水を飲もうと冷蔵庫を開ける。タンクの水が残り少なくなっている。
 「帰りに給水していかないとなくなっちまうな。スタンド寄らねーとな。」
 水道の放射能汚染は規制値の改正で飲用に問題ないと言われているが,流石に抵抗がある。最近は
「ウォータースタンド」なんて物が出来てガソリンみたいに水を売る業者があらわれる始末だ。
 テレビでは福島原発のVTRが流される。今日も白い煙がたなびいている。冷却作業は順調だと発表
されているが、結局何年かかるんだ?モックモクじゃねえか。先月から導入されたライブカメラのお陰
で、状況は誰でも見れるようになったけれど、NHKの高性能カメラが涙目になってんだろうな。
 「ポーン。8時をお知らせします。」
 おっと、そろそろ出ないと間に合わないな。今日は放射線量も少ないし防護服は良いか。着るのが面
倒なんだよな、何枚重ねなんだよこれ。そんな悪態を心の中で呟きつつ,線量計を首にかけて、家を出た。


 そんな東京人こえーなー。つうかちょっとしたショートショートになりそうだな不謹慎極まりないけれど。