漫画感想 篠房六郎短編集

篠房六郎短編集~こども生物兵器~ (アフタヌーンKC)家政婦が黙殺―篠房六郎短編集 (カラフルコミックスキッズ)
あ、家政婦が黙殺ってアダルトだったのか…成人指定ついてないのに!?
結果的に倫理がノーを突きつけそうなので続きへインサートしておきます。
がいよう。
「やさしいこどものつくりかた」捨てられたからってそんなにヒネちゃダメだとジュベレン侯も仰ってます。真面目に読むぶんには篠房作品の中で一番好きです。何と言うかえぐいと言うか俺の弱い部分をボコボコにしてくれている感が。可哀想で可哀想で可哀想で仕方ない自分ってみんな好きだろ?でも他人がそうなってると全力で否定したくなるんだよな、アレって何なんだろう。最近は2周くらいして愛おしくて仕方ないのですが、これが大人になるということなんでしょうか。うん、今の俺も十分可哀想だからテキトーに頑張っとけって思う。

生物兵器鈴木さん」そこは、「スペルマンX」一択だろ!?実に爽やかな気分になれるので好きです。なんだろうこの無邪気な子供の醜態を見てニヤニヤする甘苦い気持ち。サンマの内臓だけ延々と食べさせられているような、時々もみじおろしでさっぱりしちゃうような、この複雑な気持ちは何なんですか篠房先生。

「空談師」やっぱりWebの世界はこういうドロドロがあってこそ。自分の過去とオーバーラップしたりして凄く悶々とするんだけどこいつら全員クズで安心したよ!インターネットの世界にはクズばっかりだ!だがそれが良いじゃないか!ペドでなりきりのシバレースが大好きです。あとタナカ君の絶望の中で狂っていく感情は数年前の俺の中に確かにあった黒歴史なので今は笑って流せてるといいなと思います。一時の感情に任せて全消去しておいて良かったな、とやっと思えるようになった三十路の夜。きっとこの作品は、自分がもっと深くネットに入り浸るほど、歳を取るほど味わい深くなるんじゃないのかなあと。「やさしいこどものつくりかた」が一番しっくり来る俺にはまだまだ味わい尽くせないような気がします。

さてここからは家政婦が黙殺のがいよう。
「シビレビ」「テカテカ」「ドナドナ」「ビンビン」「コテコテ」…パロにこういう領域があるのはエロ漫画ならではですよねー、こういう下品なノリは凄く好きです。でもエロクナイので多分未成年が読んでも平気だと思うよ!でも金払ってエロ本買ったのにこんなの読まされたらキレるかも知れないね。そんな俺がコミックライズでお気に入りだったのは中央線チャンネルだったのだけど、エロ本の中には異様に前衛的だったりシュールだったりする漫画が埋もれているので侮れないと思います。

「男一発六尺魂」=任侠+ギャルゲ、これ以上言うことは無いので腹よじれるまで笑えば良いと思う。

「思い出の人」「ヌポ根」そういえば洋物はアグレッシブでスポーティーだって聞いたことがある!こういう発想はそのうち百舌谷さんで出て来そうだけどどうなのかなあ、黒子やめてサック被って欲しい。あと先輩の名前は出オチレベルの破壊力が酷い。アレで全部持っていくのは正直ない。死ぬからやめて下さい。

「マラベスク」「シャーブル昆虫記」…何故だろうタイトルを羅列するだけでもの凄く消耗する…そうね、タイトルが昭和なんだよね…あの頃は18歳未満で見れなかったけれど、あのピンクの棚に色とりどりに並んだどこまでパロってるのかわからない企画の数々には胸が躍ったもんだよ…企画者のセンスに脱帽。全員一列に並べて正座させてやりたくなるレベル。

「オムニバス」あの器具だけで1話まるまる使うとか正気の沙汰とは思えないです。勘弁して下さい。

「愛の萌えッ娘改造計画」だが出てくるのはおっさんだけだぞ!来週が絶対来ませんように!まあバラエティー的にあの番組の楽しみ方として間違ってない方向性だと思うんだけどそういう冷めた見方ってタブーだよね。

「名探偵ドイル」これよく出版されたな…ヤッターマンコーヒーは昭和の香りがするよね…今思い出しても何がそんなに嬉しかったのかさっぱりだ…これが中坊神経ってやつですか…

「オトナ篇」ニコニコ電波はリアル顔で出して欲しかったなあ。これを乗せてたOURSも大概だわ。

「当て身番長」「中坊ですよ」や…これは酷い…良い意味で。生物兵器鈴木さんに通じる下品とバカさが溢れていて、かなり心地いいです。なんだろうこの爽やかな読後感は。

「あとがき」「カバー裏」ここを読んでると癒される俺も相当に病んでいるんだなあ。